慣れてないし、騒音を嫌う人もいるしで、ほとんど使ったことはないのだけれど。
やっぱりあたしには、箒が一番しっくりくるわ。
「でも、不安もいっぱいあるの。
今日だって、いろいろと失敗しちゃったし」
人間界のことを考えていたら、今日の出来事が脳裏をよぎった。
怒らせちゃったり、魔法を失敗しちゃったり、どうしたらいいかわからなくなっちゃったり。
そんなことで落ち込んでいたら、前に進めなくなるってわかってる。
それでも落ち込むものは、落ち込むのよね。
「あんま気にしなくていいよ。
慣れれば大丈夫」
俯いて手元に視線を落としたあたしの頭に、優しく乗っかった手のひら。
顔をあげると、里音の柔らかな笑み。
まるで、お日様みたい!
「ありがとう里音。
あたし、がんばるわねっ」
元気をもらって返す笑顔。
不思議と、里音といると笑顔になれる気がする。
優しいし、とっても話しやすいからなのかしら?
「困ったことがあったら、すぐオレに言いなよ」
こうやって、いつも味方してくれる。
「えぇ、頼りにしてるわ」


