冷蔵庫を開けて、どんな食材があるかを確認。
料理本と照らし合わせながら、献立をチョイス。
キッチンにある豊富な収納スペースから、調理器具を取り出して。
「分担して作りましょ」
フライパン片手に向けた笑顔。
里音のおかげで、すぐにメニューも決められたし。
単にあたしが好きだからっていうのもあるけど、今日のお昼はオムライスよ!
あたしは、これからデザートにゼリーを作ることにしたの。
ちゃんと固まるか不安だけど、きっと大丈夫よね。
調理を始めて数十分、お互いに落ち着いてきた頃。
というか、あたしが落ち着いてきた頃だった。
「すずは、“ここ”が好き?」
作業は止めずに、里音が不意に口を開く。
「えぇ、好きよ。
人間界にはエシャルにはないものが、たっくさんあるもの」
だから、思ったことを素直に告げた。
「例えばね、エシャルには掃除機がないのよ」
掃除といえば、イコール箒。
忙しい時なんかは、それを魔法で動かす。
掃除機っていうものも、魔法と同じくらい便利よね。


