「ぬいぐるみなんかより、人のぬくもりがいい」
耳元で聞こえる声。
髪を優しく撫でられる。
「先輩、毎晩俺の隣で眠ってよ」
溶かされてしまいそうなほど、感じるのは甘い吐息。
「そしたら、ぐっすり眠れると思うから。
ダメ?」
問いかけに、ただ生まれる戸惑い。
これは、なに?
人間界では、こんなに密着するのが普通なのかしら?
「なんなら、一緒に眠るついでに可愛がってあげてもいいけど?」
わずかにできた隙間。
至近距離でぶつかる視線。
今にも触れそうな唇………
「はっ、ちょっと!」
そこでようやく意識をはっきり取り戻した。
危ないわ、今とてもおかしな雰囲気だった。
ほっとしたのも束の間、思わず突き飛ばしちゃって恋千くんが不機嫌そうな顔になる。
「あ.あの、ごめんなさい。
だけど、一応あたしのが年上なんだし少しくらい遠慮してくれても───」


