だいたい、あたしなんかをお腹の上に乗せてたら重くて潰れちゃうわ。
そんなことになったら、みんな困るもの。
「先輩、ボケてんの?」
なのに、なぜか恋千くんはため息を零して。
見慣れてきた呆れ顔。
「いいえ、真面目な話よ」
力強く返事をすると、起き上がった相手が突然笑顔に。
しかも、すっごく嬉しそう。
表情の切り替えが早いのね。
「そっかー、バレちゃったか。
そうだよ、実は俺、独りじゃ眠れなくてさぁ」
その笑顔のまま、伸びてきた指先があたしの頬に触れた。
「やっぱり!
なら、今度一緒にぬいぐるみを買いに行きましょう?」
もちろん、こちらも返すのはにっこり笑顔。
「ありがと先輩。
でも残念……俺、ぬいぐるみじゃダメなんだ」
だけど視界に入ったのは、今度は悲しそうな表情で。
「どうして?」
首を傾げると頬に触れていた指先が、後頭部に回り込む。
「恋千くん……?」
呼びかけが終わると同時に、そのまま抱き寄せられた。


