寝っ転がったまま、伸ばしてくる手。
よくわからずに手を重ねようとすると、おもむろに手首を掴んで引っ張られた。
「きゃっ」
成り行きで、恋千くんの上に乗っかるあたし。
「えっ、なに、どうしたの!?」
びっくりして尋ねれば、口角をあげて答えられる。
「だから、相手してって言ったじゃん」
「相手って、なんの?」
「んー‥、何がいい?」
な.何がいい!?
じゃあ逆に聞くけど、何があるの?
「例えば?」
恐る恐る答えを促すように、言葉を選ぶ。
「例えばー‥そうだな、添い寝とか」
……はい?
一瞬、自分の耳を疑ってしまったわ。
「もしかして、恋千くんって独りじゃ眠れないくらい寂しがり屋なの?」
「は?」
「そういう時は、ぬいぐるみを抱いて眠るのが一番よ!」
口を開きっぱなしにして、あたしを見上げる。
引き寄せる力が弱まったから、すぐに恋千くんの上を退いた。


