琴葉ちゃんから教わった四つ葉のクローバーに関する知識。

自分が幸せを手に入れるために、他人を不幸にするらしい。



花言葉は【私のものになって】。





後退りしようとするあたしの腕を掴んで、また命令するのです。

目の前のご主人様にとって、やはりあたしは下僕でしかないのかもしれない。




「ローナ、俺と婚約しろ」



エシャルに行くための理由作り──いいえ、地位作りに、これからあたしが振り回されることになるなんて。





“幸せ”を知った半年間。



「絶対にいやぁぁあああっ!」



あたしの拒絶を聞きつけた、恋千くんと誠と里音が部屋の扉を開ける。

黒い艶やかな毛並みを風になびかせて、一度部屋に入った鈴はすぐに姿を消してしまった。

ここにはいない、佐久間さんに会いに行ったのかもしれない。



初めて見る桃色の花びらが、開いた窓から入り込む。

この花びらは桜というのだと、琴葉ちゃんが言っていた。



少しだけ大人になったあたしは、人間界で“恋愛”というものを知りました。

でもそれは、桜が椛に変わる、少し未来の物語───






*END*