目を瞑る愛琉さんの頬に、ずっと手にしていたものを乗せる。

首を動かしたから、すぐに頬からは落ちてしまったけれど。


「四つ葉のクローバー、庭で見つけたの。
幸せ、愛琉さんにあげる」


微笑むと、彼も笑った。


「エシャルに行く方法…例えば、魔力を手に入れたとか、地位が高いとか、そういう武器があれば……」


あたしが姫だから人間界に来れる。

それと同じで、何か理由を作ればいい。


思案していると、愛琉さんが上半身を起こす。

しばらく四つ葉のクローバーを見ていたかと思うと、それと交互にあたしを見て。



「………なに?」



さっきまでと相手のオーラが違うことくらい、洋館に住んでいた半年間に学んだ。

忘れそうになっていたけど、愛琉さんは怒ってあたしの髪を引っ張ったくらい凶暴だったじゃない。



「愛琉さん?」

苦笑いになってしまう自分。

それでもかまわず、相手は距離を縮めてくる。


「いいこと思いついた」

「いいこと?」


四つ葉のクローバーのせいかもしれない。

あたしが愛琉さんに幸せをあげちゃったから。