俯いたまま、廊下を歩いてのぼった階段。
2人に追い出される形で終了した掃除。
そのせいか、いつもより時間がかからなかった。
あとひと部屋だけ、掃除したら昼食準備しよう。
落ち込んだまま、次の扉を開いて
「掃除、しに来たの?」
先にかけられた声に、ビクッと体が震えた。
「ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
無意識に答えたあたしへ、飛んでくる質問。
「ま、別にいいけど」
無言でいるのを見てか、それ以上は聞いてこなかった。
ベッドに横になって、ぼーっとしている相手のそばに歩み寄る。
「恋千くん、掃除しても平気?
寝てるようならまた後で来るけど」
家具の色に、統一感はない。
好きなものを置いただけの部屋。
ベッドのすぐ横の開いた窓から、柔らかい風が白いカーテンを揺らしていた。
「掃除なんかしなくていいよ、自分でやるし。
それより、俺の相手して」
「相手……?」


