「愛琉ってば、誠くんの家に入るために私に魔法使わせたんだよ。
あり得なくない?」


誠の家……あ、あの時。


記憶を蘇らせると、あの時の疑問が解決した。

そういえば、あたしたちが誠のご両親と話してる途中で突然姿を現したんだ。

庭から侵入したのかと理論づけていたけど、実際は魔法の力だったのね。



本来の姿に戻った琴葉ちゃんからは、あたしなんかじゃ及ばないほどの魔力が漂ってる。

魔力自体を薄めつつ、魔法を使うことなんて容易いことなのかもしれない。

だから、あたしは愛琉さんが魔法によって部屋に入ってきたなんて考えもしなかった。



……強い魔力?

不意に、思考を一度ストップ。


また別の疑問が、脳裏を過ぎる。



「琴葉ちゃん、あたしと佐久間さんを助けてくれたことある?」


転落したあたしたちを、誰かの魔法が助けてくれた。

あの時の魔法は、優秀な人でなければ使えないような高度さが必要不可欠。


「えーっと、けっこう前の話だよね?」

「えぇ」

「……あ、思い出した。
あの時、いきなり人が落ちてきたから驚いて」