考えたことを口にすると、琴葉ちゃんは静かに首を横に振る。

「ううん、私は別に今のままで満足してるから」



どこからか奏でられる、小鳥たちの囀り。

エシャルは、今日も晴天だ。



「それに、私は正式な魔女じゃないし」


そんな言葉に、ふとおばあ様から聞いた話を思い出した。


確か、魔女さんが人間界のイケメンさんと結婚したのよね。

それが琴葉ちゃんの、ご両親。


ということは、今こうしてエシャルにいる琴葉ちゃんは魔女の血を多く引いていて。


「今ね、私の両親は2人とも人間界にいるんだ」

「お母様も?」

「うん、ここだけの話、昔はエシャルから人間界に遊びに行くのって珍しくなかったんだって」


でも、という声がほんの少し悲しさを帯びていた。


「魔界から人間界に紛れ込む悪魔という種族が増えてしまったから、出入りが厳しくなっちゃったみたい」


そうだったんだ。

知らなかった話に頷いていると、また琴葉ちゃんは楽しげな笑みを浮かべた。


「姫様、さて問題です。
私の、双子の弟は誰でしょう?」

人差し指を立てて、もう片手は腰に。