光を越えた向こうの世界。

あたしの住む国、ユール・ド・エシャル。



あっという間にエシャルに着いたあたしは、お城のひと部屋で為されるがまま。

髪をいじられ、爪をいじられ、唇にグロスが塗られて………



「琴葉ちゃん、そろそろ説明してくれない?」

あたしの、俗に言う専属のメイクさんは今日から琴葉ちゃん。


「説明?
そうだなぁ、私のこととか?」

楽しそうに笑って、質問に質問で返される。


「それとも、私の弟のことかな?」

「弟?」


それまで鏡に映る自分の姿を見ていたけど、気になって琴葉ちゃんへと向けた顔。


あたしは、ここで衝撃の事実を耳にした。


「私ね、実はリンス・アヴァルアの孫なの」

リンス・アヴァルア。

それはもちろん、かの有名な魔法学校の創立者、アヴァルア校長先生のこと。


「えっ、じゃあ、琴葉ちゃんってすごい立場の人なんじゃないの?」

そんな人が、あたしなんかのメイクを担当しているなんて。


アヴァルア校長先生の孫なら、もっといいお仕事ができるんじゃないかしら。