大広間に集まった全員の視線が、アヴァルア校長先生にのみ向けられる。
そんな視線を受けて、彼女は深いため息をついた。
「なに全員で暗い雰囲気作ってんだよ」
そこへ、今度はまた別の声。
「最初から、人間界に来ちゃいけないなんて掟ねぇだろ」
相変わらずの愛琉さんだ。
「あら、愛琉じゃない。
今までどこに隠れていたのかしら?」
アヴァルア校長先生との間に、なんだか険悪なムードが漂う。
この2人、会話がいかにも知り合いって感じだわ。
でも、どうして?
今までに会話を交わしてるところなんて、見たことがないのに。
「姫様が余計混乱するから、ケンカするならあとにしてよ」
琴葉ちゃんの仲裁に、アヴァルア校長先生と愛琉さんはお互いに顔を背けて。
今のだけで、充分に混乱しているのだけれど。
「あなたが正式に姫であると国民から認められれば、人間界に来ることも……難しくは、ないと」
咳払いをしてから、あたしを見てアヴァルア校長先生が告げる。
「本当!?」
確認したくなる言葉に、あたしは思わず大きな声を出した。


