慌てて本を拾い集めるあたしが、誠の冷ややかな瞳に映ってる。
「ごめんなさ───」
「次、失敗したら出ていってもらいますからね」
低く静かな声。
謝罪は、途中で遮られてしまった。
突然、部屋中から音が消えた。
沈黙の中、泣きそうになりながら片付けて。
魔法使い、失格だわ。
“幸せ”を探しに来たのに、逆に“幸せ”を奪ってしまったもの。
「邪魔です。
もういいですから、他の部屋を掃除してください」
「誠……」
謝るしか、対応が思いつかないなんて。
あたし、これじゃ帰ったって姫の資格がない。
「聞こえてますか?
邪魔です、部屋から出ていってください」
「………はい」
どうしようもなくて、周囲の本を集めるとそのまま部屋を後にした。
魔法は、練習してから使おう。
二度目の失敗は、許されないから。
魔法使いのあたしを受け入れてくれた人たちに、迷惑はかけちゃダメ。


