一瞬、この場に訪れた静寂。
愛琉さんが顔を引きつらせながら一番に口を開く。
「どこのガキだよ。
過保護すぎんだろ、それ」
「はい、殴られた結果がこれです。
もう、あきらめました」
すぐそばで、恋千くんがやっぱりかと呟く。
説得する際に、殴られたと……そういうことね。
「でも、遊びに来れる許可が下りて良かったな」
里音が嬉しそうに言うと、誠と視線が絡んだ。
「誰かさんの不法侵入のおかげです」
えっと………?
誰かさんというのは、あたしのこと?
魔法で勝手に部屋に上がり込んだこと、怒ってるのかしら。
「あなたも、悩みがあるなら打ち明けるべきです。
逃げるだけでなく、向き合ったらどうですか」
内心ビクビクしていると、誠はどこか優しい表情。
そうよね。
あたしも、逃げないで向き合おう。
こんなにも素敵な人が周りにいるんだもの。
話、聞いてもらう価値はあるわよね。
「ねね、DVD、誠も一緒に見よっ」
佐久間さんが誠の手を引く。
数分前と同じ薄暗い空間の中、ようやく本当に全員が揃った。