立て続けに質問を繰り返す彼に、あたしも負けじと前に出て。
「戻って来れたの?
これから、また一緒にいられる?」
少しばかり、興奮気味に尋ねる。
「はぁー‥」
それにすぐには返答せず、扉の前に立つ誠がため息ひとつ。
里音が閉め切っていたカーテンを勢いよく開ける。
さっきまでの薄暗い部屋には、眩い光が降り注いでまるで別世界。
愛琉さんは、流れたままのDVDを一時停止する。
しんと静まった空間が、新たに生まれた。
「洋館に住む許可はもらっていません」
きっぱりと、またはっきりとした口調で誠が断言。
確かに、誠の両手には荷物がない。
常に抱えていた本でさえ、どこにも見当たらない。
「じゃあっ、どうしてここに?
まさか、また家出してきたの?」
「人の話を最後まで聞いてください」
急かすあたしに、誠が疲れたように目を伏せる。
「洋館には住めません。
ですが、遊びに来る許可はもらいました」
「えっと、つまり……?」
「日帰りなら洋館に来れる、ということです。
非常に面倒な話ですけどね」


