冷たく言い放たれて、何も言えず口を閉ざす。
今回ばかりは、あたしのせいかもしれないし。
俯いていると、近寄る人の気配。
…と、ほぼ同時に愛琉さんの手からあたしを引き離した。
「そんな言い方する必要ないだろ」
里音だ。
あたしを庇うように、目の前に立って。
「愛琉は言い方がキツすぎる。
すずだって困惑してるだろ。
もう少し優しく言ってやれよ」
「優しく言っても、素直に頷かねぇだろーが」
「2人とも、ケンカしちゃダメだよ」
言い合う2人の間に、無理矢理割り込む佐久間さん。
テレビ画面には、ちょうど幽霊が登場したらしい。
この世のものとは思えない奇声が鼓膜を揺さぶる。
それも、目の前にいる3人に塞がれて直接は見えないのだけれど。
「この洋館にも、出るらしいよ」
どうしたものかと焦り始めた頃、突然恋千くんがテレビ画面を見つめたまま言い出した。
恋千くんへと集まる、全員の視線。
「出るって、ひょっとして」


