かと思えば、今度はいきなり腕を掴まれて立たされた。


そのまま、あたしの手を引いて

「おまえ部屋から出てろ」

いつも通りの冷ややかな目と、上からものをいう口調。



「えっ、ちょっと待って、どうして」

意味が理解できずに、引っ張る愛琉さんと反対側に体重をかけて引き止める。


「怖いなら見んな」

「ええと、その……」


要は無理するなって、そういうこと?

テレビ画面から、全員の視線はあたしたちへ。



「隣でビクビクされてんの、俺が嫌なんだよ」

「だったら、愛琉さんの隣に座るのをやめるわ」

「おまえがこの部屋にいんのも嫌だ」


なっ……それ、存在自体を拒否してない?


気を遣ってくれてるのか、単純に嫌がらせされてるのか、これじゃわからないわ。


それに、1人で部屋の外に出るのは怖い。

1人にされるくらいなら、この部屋でDVDの続きを見たほうが楽だと思うの。

みんながいるわけだし。



「いちいち怖がってんのが視界に入ると、すんげーうぜぇんだよ」