xxxFORTUNE




「“さん”は、やめてくれませんか。
呼び捨てで構いませんよ」

「え?」


驚きを隠せなくて、ついまた手を止めてしまう。


呼び捨てで、いいの?

本当に?



「じゃあっ、呼び捨てにする代わりに、あたしと話す時は敬語じゃなくてもいいわ!」

距離が一気に縮まったみたいで、嬉しい。

呼び方だけで、こんなに感覚が違うって不思議ね。



「いえ、断ります。
僕はタメ口で話すほど、あなたと親密になった覚えはありませんので」

「はへ………?」



でも、やっぱり距離はまだまだ遠いみたい。

呼び捨ては可で、タメ口は不可?

どこがどう違うんだろう。


人間界って上下関係や親密度の違いが難しいのね。

友達を増やすためにも、もっと勉強しなきゃだわ。



「ところで、掃除を一日中するくらいなら料理の腕を磨いたらどうですか」

「…というのは?」

「あなたの料理は、料理と呼ぶに程遠いからです」



今、新たな課題が目の前に。