「ねぇ、これって本当に幽霊が映っているの?」


恐怖から、縮こまって両手を握り締めながら問う。

誰か1人に訊いたというよりは、誰でもいいから教えてほしくて。



「幽霊役の人がいてね、演技してるんだよ。
だから幽霊は映ってないよ?」

映っているのは人間だと、佐久間さんは残念そうな口振り。


「ホタルって、お化け屋敷入って幽霊に怯えるんじゃなくて、幽霊役が人間ってとこにビビってそうだよね」


恋千くんが推測していると、その横で里音が笑う。

あたしは笑う余裕すらない。



さっきから、作り物だと自分に言い聞かせてるのに嫌な緊張感。

ちょっとした物音にでさえ、体が震えるし。

落ち着かなくて、呼吸が浅くなっていく。



「おい、」

「ひゃあぁっ」


隣の愛琉さんに突然声をかけられて、驚きのあまりあげた悲鳴。

無意識に、佐久間さんにしがみついてしまった。



「ヒメ、だいじょうぶ?」

「だだだだだだだっ…大丈夫なわけっ……」


どもっていると、声をかけてきた張本人は深いため息を零す。