すると、すかさず佐久間さん本人から訂正が。
「違うよ、幽霊は怖いけど映像は映像だってわかってるから怖くないの。
テレビの中にいるから、ここにいるわけじゃないでしょ」
じゃあ、テレビから出てきたらどうする?と恋千くんの意地悪な質問。
「現実味のねぇ話してんじゃねぇよ」
それまで黙っていた愛琉さんが、口を挟む。
「はいはい。
…あっ、もしかして愛琉ってホラー苦手?」
それでも、恋千くんは相変わらずマイペースで。
「苦手だったら、部屋出てるっつーの」
「ふぅん、それもそうか」
会話が済むと、DVDもセットできたらしく全員が着席した。
ベッドの上に並んで座っている、里音と恋千くん。
床に座っている、あたし。
その両隣には、愛琉さんと佐久間さん。
映像が流れ始めると、さっきまでの絶え間ない会話も静寂に包まれる。
効果音が、やたらと大きく部屋中に響いていた。
そのうち、だんだん物語も恐怖の雰囲気を漂わせる。
あたしは、多少怯えながらも食い入るようにテレビ画面を見つめた。


