隣には、座り込んでぼーっとしてる愛琉さんがいる。
結局、全員が佐久間さんの部屋に集まった。
「怖い話?
オレはいいけど、すず大丈夫?」
カーテンを閉めて、佐久間さん愛用のベッドに座った里音が尋ねてくる。
「うーん…見たことがないから、わからないわ」
曖昧に答えていると、そのうち恋千くんと佐久間さんのやり取りが耳に入ってきた。
「ホタル、このDVD全部借りてきたわけ?」
「うんっ、そうだよ」
「こんな量、貸し出し期限内に見終わる?」
「大丈夫、ぼく毎日暇だもん」
普通にこんな会話が成り立っていることが、とてつもなく不思議。
佐久間さんが1人で外出できるようになったことが、本当にびっくりだわ。
まだ、学校に行くことは、できないみたいなのだけど。
「ホタルって、人間不信の割に幽霊とか平気だったのか」
ベッドに置いてあったらしい丸いクッションを抱きながら、里音が目をパチパチとさせる。
「幽霊は怖いけど、それ以上に人間が怖いから平気なんじゃない?」
これにしよう、と佐久間さんにDVDを手渡して恋千くんが付け加えた。


