「すず、魔法使うの上手くなったな」

誠が洋館を出て数日。

まだ帰ってこない。


きっと、もうすぐだわ。

誠なら、もうすぐ帰ってきてくれる。



この頃あたしは、すっかり魔法に慣れて失敗が少なくなっていた。

魔法を使って掃除をしてるあたしの頭を、里音が褒めて撫でてくれる。



「そんなもんに頼ってると、何にもできなくなんだぞ」

魔法が上達すればするほど、正反対に愛琉さんは毒を吐くのだけれど。


「大丈夫よ、最後はしっかり自分の手でやるもの。
全部を魔法で片付けてるわけじゃないわ」


そんな愛琉さんとあたしは、割と毎日口論になって。

といっても、わずかに文句が飛び交うだけのね。


だから他のみんなは、さして気にしてないみたい。


「おい下僕、そこの部屋綺麗にしたら庭掃除しろよ」

「う.うるさいわね!
言われなくてもやりますよーだっ」


本当、ここ最近愛琉さんが出会ったばかりの頃に戻ってる。

上から目線で人のことこき使って……


もしかして、誠がいないのが寂しいから八つ当たり?

それとも、あたしが魔法を使うのが嫌だから?