なぜだかわからないけど、必死だった。


だから、

「あなたには関係のないことです。
これ以上、首を突っ込まないでください。
迷惑です」

突き放されてもっとムキになってしまう。



「あたしは誠のためを思って言ってるの」

「たとえ僕のためだったとしても、僕が迷惑しているなら余計なことをしている。
そうでしょう?」


いつもはまだ優しさが残っていた。

今日の誠の口調には、見えない棘がある。


この棘は、もしかしたらあたしが作り出しているのかもしれない。



「どうしてあきらめるの?
話せばわかってもらえるかもしれないじゃない」


きっと、誠の立場を自分と重ねてる。

本当にいたい場所から引き離されることを、自分と重ねてる。


必死になってしまうのは、それが原因なんだわ。


「あたし、手伝うわ。
誠がちゃんと洋館に住めるように。
エシャルに戻る前にちゃんとするから」

「あなたに僕の何がわかるんです?
僕の気持ちなんて、誰にもわかるはずない」

「わかるわ!
あたしには……わかる」


いたい場所に戻れる可能性がちょっとでもあるのなら、あきらめてほしくない。