xxxFORTUNE




「ヒメは、過去を背負ったぼくたちが、青い鳥を探すのを手伝ってくれたんだよ?」


佐久間さんの表情が、あまりにも優しくて温かくて。

返す言葉が出てこない。


「鳥籠に入ってたぼくを、ヒメが出してくれたんだよ」

何度も、何度も首を縦に振る。


こんなに感謝してもらったのは、初めて。

こんなにありのままの自分を認めてもらったのは、初めて。



「すず、どうした?」

慌てた里音の声に、今度は首を横に振る。


「なんでもない」

「なんでもなくないだろ」

「先輩涙目になってるよ」

「ヒメ?」



みんなが顔を覗き込んでくるから、俯いて両手で顔を覆う。

立ち止まったあたしのせいで、みんなも足を止めていた。



嬉しかった。

でも悲しかった。


エシャルと人間界の両方を知って、あたしは人間界に逃げたくなってる。

姫という立場を前提でしか評価されなかったあたし。

人間界では、誰だって本当の自分を見てくれる。

誰も、あたしを特別扱いしない。