「別にいけないわけじゃないけど、すずの探してる“幸せ”って誰にでも共通することを指すんじゃないのか?」
優しい声音で里音に言われ、もう一度考え直して。
あたしの探してる“幸せ”って、あたしにとっての幸せとは違うもの?
確かに今まで、誰にでも当てはまる“幸せ”を探してきたけど。
誰にでもっていうのは、ちょっと難しかったわ。
それとも、難しいからこそ課外授業の目的が“幸せ”を探すことなのかしら。
「ぼ.ぼくは、なんでもいいと思う。
ヒメが幸せなら、なんでもいいよ」
「佐久間さん……」
笑顔で隣に並ぶ彼に言われて、ものすごく感動してしまった。
「ま、ホタルが外に出られるようになったのは先輩のおかげか」
「え?」
恋千くんが、その佐久間さんの肩に腕を回して話す。
「恋千が家出から帰ってきたのも、すずがいたからだしな」
2人と反対側のあたしの隣で、今度は里音が微笑んだ。
2人の言おうとしてることが理解できずに、首を傾げれば
「ヒメは、ぼくたちにしあわせを運んでくれる魔女さんだねっ」
人差し指をピンと立てて、なされる説明。


