xxxFORTUNE




満面の笑みを浮かべて、佐久間さんにさらに言ってみせると

「聞きたくねぇ」

別の方向から返答が。



「愛琉さんには訊いてないわ。
聞きたくないなら、いいのよ。
教えてあげないんだから」

結局は、ここで言うわけだから愛琉さんの耳にも入ってしまうのだけれど。



聞きたいと言ってくれた佐久間さんの声を合図に、あたしは両手を腰に当てた。


「えっへん。
あたしね、今この瞬間が幸せよ!」



自信満々に告げた言葉に、里音と恋千くんがほぼ同時に笑い出す。

愛琉さんに至っては、完全無視して先に進んでいっちゃうし。


「え、どうして?
あたし、おかしなこと言った?」

思ったままを、伝えただけなのに。



「それって、先輩だけの幸せじゃん」

「しかも、今この瞬間限定のな」


え、なんで?

それはダメ?


「恋千くんは、今幸せじゃないの?
ねぇ里音、限定されたらいけないのかしら?」

浮かんだ疑問を率直にぶつけると、2人は顔を見合わせてまた笑う。