里音、佐久間さん、恋千くん、と顔を見合わせて。
最後にみんな揃って見る先は愛琉さんで。
「帰ろ帰ろ!」
嬉しそうに、佐久間さんが立ち上がる。
「また、出直すか」
ため息混じりに、里音も立ち上がる。
恋千くんは無言で立つと、グッと伸びをしていた。
あたしは今一度、誠のご両親と向き合う。
今日は帰ろう。
これ以上、口論するのはやめにしよう。
誠から直接、素直な気持ちを聞きたい。
「あたし、あきらめませんから。
だって、あたしは誠の家族ですもの」
にっこりと微笑んだのを最後に、あたしたちはお屋敷を出た。
道路に出るまでの間、お屋敷に住んでいるのであろう老人と交わす挨拶。
誠の祖父母かしら。
「それにしても意外だなぁー。
愛琉が来るなんてさ」
頭のうしろで腕を組んで歩く恋千くんの声に、再び前を向いた。


