「あんたら、誠の親だろ!
なんで息子の気持ちを一番に考えてあげないわけ。
親なら親らしく、子どもの意志を尊重してやれよ!」
あまりの叫び声に、あたしはもちろん誠の両親は目を見開かせる。
きっと、隣にいる里音もうしろからあたしに抱きついたままの佐久間さんも、びっくりしているに違いない。
「部外者の君が、よくもそんなことを…!」
誠のお父様が顔を真っ赤にして怒り出しても、恋千くんは止まらなくて。
「俺のことバカにするのなんか勝手にやれよ。
けど、里音もホタルもすずも、愛琉のことも、バカにするヤツは絶対許さない」
あたしの手を握る力が、よりいっそう強くなったのを感じる。
「親が善かれと思ってやってることが、時によって子どもを傷付けることだってあるんだよ」
あたしの手を握った恋千くんの手の上に、さらにもうひとつ。
困ったような笑顔であたしを見て、里音が手を重ねた。
「誠の人生を、あんたらが語る資格なんてない。
子どもの将来を決めるのは、親の権利じゃない」
言いたかったことを、全部代わりに恋千くんが言ってくれた。
説得するなんて無茶だったんだ。
冷静になって話し合える相手じゃないもの。


