訳の分からない、ですって?
どうして、何も知らないくせしてそんな悪口が言えるの?
「誠には、ここで勉強してきちんと尊厳たる技術や知識を身に付けてもらうつもりだ。
それが誠の人生においても、最も正しいと思わんかね?」
さっき以上に、唇を強く噛む。
悔しくて悔しくて、両手拳が震えた。
「君たちのような落ちぶれた人間が周りにいては、誠にとっても悪影響だ。
分かってくれるね?」
目の前で微笑む相手に、今ものすごく訴えたい。
彼らは、あたしは、何も落ちぶれてなんかいないわ。
もう……我慢の限界よ!
「…わかってないのは、あんたたちのほうだよ」
口を開きかけたあたしを止めるように、震えてる手を握られる。
握ったのは、恋千くんで。
発せられたものは、今までに聞いたこともないような低い声。
「あんたたち両親がそんなだから、誠は家出したんだよ」
あいているほうの恋千くんの片手が、テーブルを思いっきり叩いた。
響いたのは、何かが壊れるくらい異常な騒音。


