それに、改まった雰囲気。
えっと……?
「ごめんなさいね。
誠は───」
「あ.あきらめませんから!」
誠のお母様の言葉を遮って、テーブルにドンとついた両手。
みんなが、あたしに注目する。
「え?」
ぽかんとする彼女に、身を乗り出して続けた。
「誠は、洋館にいたいんです。
だから返してください」
「ちょっ、先輩」
あたしを抑えるように、恋千くんの手が伸びてくる。
あたしはもう一度座り直して、躊躇いがちに向かい相手を見た。
「あなたたち、誠と仲良くしてくれてありがとう」
キッと鋭い視線を送ったはずなのに。
穏やかに感謝を述べられるもんだから、なんだか逆に戸惑い。
「ふふっ、慌てているみたいね。
誠は今出掛けていると、そう言いたかっただけなの。
誤解を招いてしまったようで、ごめんなさい」
あたしとは対照的に、彼女はとっても落ち着いているみたいだ。


