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たどり着いた先は、大きな家。
洋館とは違う雰囲気で、庭には水の流れる音がしていた。
どうやら、和というものを基調につくられているらしい。
玄関の前でチャイムを押すのを躊躇っていたら、ちょうど誠のお母様だという人が帰宅してきたところで。
「ヒメ、ぼぼぼぼぼぼ.ぼくっ」
「大丈夫よ、何も怖くないわ」
ガクガクと震え出す佐久間さんと手を繋いで、案内されるままにお屋敷へ入る。
さすがに、里音も恋千くんも緊張しているみたい。
誠のお母様があまりにも柔らかくて優しいオーラだったから、意気込みがすっかりなくなってしまったわ。
「どうぞ、座って」
ある広い部屋まで来ると、座布団に全員で座った。
畳、というらしい。
初めて見たそれを、気になってじっと見つめる。
恐る恐る触れていると、トントンと叩かれた肩。
「すず、怪しまれるから」
小声で里音に注意されてしまった。
座り直して、誠のお母様と向き合うけど続く沈黙。
この間はいったい、なに……?


