xxxFORTUNE




仕方ない、って。

それじゃ、本心は………



「あいつが決めたんだ。
ほっとけよ」

胸がぎゅうっと締め付けられて苦しい。

言い捨てて洋館に入ろうとする愛琉さんの手を、無意識に掴んでいた。



「止めないの?
迎えに行かないの?
本当は誠が洋館にいたいって、わかってるのに」


驚いた顔で振り返ったけど、それはほんの一瞬で。


「あいつが決めたことだろ」

「でも……!」

「どっちを選んでも絶対後悔すんだよ。
あいつは、ちゃんとそれを理解してる」


強い瞳に見据えられて、それ以上何も言えなくなった。



なによ、自分だけがわかったような口振りして。

愛琉さんは、結局誠のこと全然考えてないじゃない。


無理矢理連れ戻されてしまった彼のこと、悔しいと思わないの?

洋館へと入る後ろ姿に、心の中で問いかけて。


「それに誠の家のことだから、実際オレたちが口出しするのは間違ってるんだよな」

愛琉さんの言葉に続くように、力無く呟く里音。