元気いっぱいに答えると、拍子抜けしたみたいに愛琉さんから力が抜けて。


「埃が嫌なら部屋から出ていって。
すぐに掃除しちゃうから、ねっ!」

すんなり逃げ出せたあたしは、愛琉さんの腕を引っ張って部屋から退出させた。



よしっ、これで落ち着いて掃除ができるわ。

再び箒とちりとりを手に、部屋を見回す。



けど、バーンと音を立てて、さっき閉めたドアが開いたと思えば

「愛琉さん?
外で待っててって言っ───」

「出ていけ」

すごい勢いで、あたしを部屋からつまみ出す。


「えっ、まだ掃除が───」

「俺がやる。
おまえは入ってくんな、消えろ」


抵抗虚しく、廊下に出たあたしに向かって舌打ちをひとつ。

最後にドアを閉めるバチーンという大きな音が、廊下に響いた。



なんなのよ、いったい。

あたしの仕事のやり方が不服だったの?


唖然とドアを眺めていると、今度は隣の部屋のドアが静かに開く。

漏れた光の中から出てきた相手は、廊下に座り込んだあたしを怪訝そうな表情で見た。