「ここで、暮らせばいいの……?」

魔法学校の校長先生に連れてこられた先で、あたしは紙を片手に首を傾げた。


校長先生は、リンス・アヴァルアという綺麗な女の人。

怒らせると、とっても怖いのだけれど。



「そうよ、さぁ行ってらっしゃい。
その紙は、内容をしっかり覚えたら燃やしなさいな」


指示をすると、アヴァルア校長先生は人差し指で宙に円を描く。

描かれた円が、キラキラと光って。


「くれぐれも、正体がバレないようにね」

光に包まれて笑った彼女は、煙のように跡形もなく姿を消した。




ここが、あたしの暮らす場所なのね……

あたしのお城より、ちょっと小さな洋館。


アヴァルア校長先生に言われた通り、覚えるために握っていた紙切れに視線を落とした。



―――――――


※課題内容


この洋館で家政婦として仕事をし、人間界のことを学ぶこと。

“幸せ”を見つけること。

人間界では、決して魔法を使わないこと。

人間界では、決して正体を明かさないこと。