数日後、再び人間界にやってくると外は晴天。


「先輩、おかえり」

庭で両手を広げ太陽の光を浴びていると、すぐ隣から恋千くんの声。


「た.ただいまっ」

突然話しかけられたから、びっくりしちゃった。


頭上でキイッと窓の開く音がして見上げると、佐久間さんの姿が。

窓を開けて景色を眺めているみたい。


「佐久間さーん!」

そこで名前を呼んでみると、こちらに気づいたらしく大きく振ってくれた手。


すぐに姿が見えなくなったかと思えば、玄関から飛び出してきた。


「ヒメおかえりぃぃぃ、寂しかったよおっ」

ぎゅっと抱きしめられて、思わず笑顔になる。


「ただいま、これからまたよろしくね」


迎えてくれたことが、単純に嬉しい。

あたしは、みんながいる人間界が大好き。



「寂しくてケータイに電話したのに、繋がらなかったから心配したんだっ」

嘆く佐久間さんに、そういえばとケータイを取り出す。


「エシャルだと、電源が入らないみたいなの」

持っていっても使えないんじゃ、意味がないわよね。


「不便だね」

と、今度は恋千くんが言った。