「ローナ様、課題で人間界に行っているんでしょう?
どんな課題なの?」

「へっ?」


ぼーっとしていたら、今度はまた別のコに訊かれた。


「えっと、“幸せ”を探してるの」

難しそうだね、と言われ苦笑いを返す。


次の瞬間、再び周囲が騒ぎ出す。



「ローナ様、がんばってね!
ローナ様と同じクラスなんて、私幸せ」

「あ.ありがとう」

「ローナ様なら、きっとエシャルを素敵な場所にしてくれるわよね」

「え.えぇ」

「立派なお姫様になってね。
応援してる」

「……えへへ、ありがとう」



みんなが、あたしのことを姫として見てる。

そっか、そうよね。

ここはエシャルで、あたしは───



「ねぇ、得意な魔法って何?
お姫様だと、やっぱり魔法は簡単すぎる?」

「えっと……」


得意な魔法なんてない。

魔法なんて、簡単じゃない。


「ねぇ、やって見せて、魔法」

期待に満ちた瞳がこっちを見てる。

だけど………