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周囲が静まり返った夜中。
フカフカの布団にくるまりながら、あたしは小さなランプを灯し本を見つめていた。
読んでいるのは、エシャルから持ってきた魔法の本。
褐色の表紙に、黒でタイトルが記されている。
どうして表紙とタイトルをこの色にしたのか不思議でたまらない。
どっちも暗い色だから、ぱっと見タイトルが書かれていないかと勘違いしてしまうわ。
タイトルは“使い魔の導きたる”。
ちょっと、文が中途半端に感じる。
著者は、オーミ・A。
オーミさんが書いた本なのね。
著者説明の欄を見ると、大変評価されている方らしい。
この本の内容は、使い魔について。
ほとんどは、黒猫のことが書いてあるの。
本を開いて数十分、喉が渇いたあたしは本とランプを持ったまま廊下へ。
すでに眠っているかもしれないみんなを起こさぬよう、忍び足で冷蔵庫に向かった。
到着した先の冷蔵庫を開けて麦茶を取り出し、棚からグラスを取って。
「───っ!」
突然カチッという音と共に、灯った部屋の照明。


