xxxFORTUNE




里音は恋千くんと目が合うと、複雑そうな笑みを浮かべる。

そして一言。


「おかえり」


それを聞いて、今度は嬉しさを表情いっぱいに広げた恋千くんが一言。


「ただいま」



良かったね、恋千くん。

ちゃんと“ただいま”って言えたじゃない。

それって、家に帰ってきたって証よね?


やっと、また全員がこの場に揃うことができた。

これでこそ、人間界って感じだわ!




「あっ、黒猫さんだ」

みんなが恋千くんを見つめる中、ふと佐久間さんが声をあげる。

足元にちょこんと座った黒猫に、ようやく気づいたみたい。


「動物だーいすき!」

両手を伸ばして、捕まえようと試みたらしいけど。


「うわっ、あっ、こら待って」

するりとかわして、黒猫は洋館の階段を駆け上がっていってしまった。


あたしたちのそばにはいてくれても、しつこいのは好まないらしい。

でも今外に逃げ出さないってことは、洋館に居座ってくれる可能性もあるのよね。


黒猫をあたしの使い魔として人間界に置いておくのも、わりと大丈夫かもしれないわ。