xxxFORTUNE




エシャルでは、動物と会話なんて普通だし。

むしろ、会話できないと時々困るわ。

やっぱり使い魔との相性って、魔法を使う際に影響するから絆を深めておかないと。



会話って言っても、言葉じゃなくて感覚みたいなものなんだけど。



「あの…さ、すず」

躊躇いがちに名前を呼ばれ、隣を並んで歩く彼の顔を覗き込む。


「───ぎたい」

「え?」


聞き取れなくて聞き返すと、今度はさっきよりはっきりした声で。


「手、繋ぎたい。ダメ?」


視線が絡んだ瞬間、あたしは何度か瞬きをした。


だって、なんだか

「いいわよ、繋ぎましょう」


こんなに照れくさそうに笑う恋千くん、初めて見た。

不覚にも、可愛いと思っちゃったんだもの。



からかわれてたから忘れてたけど、恋千くんって年下なのよね。

本来なら、あたしがお姉さんになって甘えさせてあげなきゃなのに。


それから洋館に着くまで、黙ったままだった恋千くんを見て決心した。

これからはもっと、支えてあげられるようにがんばろうって。