エシャルでは、動物と会話なんて普通だし。
むしろ、会話できないと時々困るわ。
やっぱり使い魔との相性って、魔法を使う際に影響するから絆を深めておかないと。
会話って言っても、言葉じゃなくて感覚みたいなものなんだけど。
「あの…さ、すず」
躊躇いがちに名前を呼ばれ、隣を並んで歩く彼の顔を覗き込む。
「───ぎたい」
「え?」
聞き取れなくて聞き返すと、今度はさっきよりはっきりした声で。
「手、繋ぎたい。ダメ?」
視線が絡んだ瞬間、あたしは何度か瞬きをした。
だって、なんだか
「いいわよ、繋ぎましょう」
こんなに照れくさそうに笑う恋千くん、初めて見た。
不覚にも、可愛いと思っちゃったんだもの。
からかわれてたから忘れてたけど、恋千くんって年下なのよね。
本来なら、あたしがお姉さんになって甘えさせてあげなきゃなのに。
それから洋館に着くまで、黙ったままだった恋千くんを見て決心した。
これからはもっと、支えてあげられるようにがんばろうって。


