「下僕って、男の人のことを言うんじゃないの?
あたし、女よ」

「女?どこにいんだよ」


まったくもう、会話をするだけ無駄ね。

こんなにイライラしちゃうことがあるなんて、人間界へ来るまで知らなかった。



「ホタルの相手が終わったら、俺の部屋掃除しに来い」

命令口調も様になって。


「わかりましたよ、掃除しますよ」

泣きたい気持ちで、渋々返事を返す。



魔界では、とてもじゃないけど想像もできなかったわ。

あたしは普段、家事なんてメイドさんに任せっきりだったし。

日々、苦手な魔法の練習ばかり。



「ヒメさん、ヒメさん、魔法使ってみせてよー」

駄々をこねる佐久間さんを剥がして、箒とちりとり両手に移動。


「ヒーメーちゃーん」

「佐久間さん、他を当たってくださいごめんなさい」


追いかけてくる声に頭を下げて謝罪。

急いで、部屋に戻ったのであろう愛琉さんを追いかけた。



今日も一日中、順番にみんなのお部屋を掃除しないと。

お昼ごはんまでは、まだ時間もあるし2人分くらいなら回れそうね。