それが嬉しくて、飛びつくようにそばに寄る。
だけど相手が浮かべたのは困惑した表情。
「あのさ、すず。
今のはからかっただけなんだけど」
冷ややかな瞳が、あたしを見下ろして。
「ペットが何ねだってんの」
冷ややかな口調で告げられる。
正直、怖いです。
「だって、恋千くんが言ったのよ。
撫でてあげるって」
「真に受けるのも、どうかと思う」
正直、ムカつきました。
「それよりね、そう、この黒猫!
佐久間さんが優しさから逃がしてしまったのよ。
だから、また探していたとこだったの」
ただ、ケンカなんて後回し。
せっかくまた会えたのに、言い争ってたらもったいないわ。
「ふーん、ホタルならやりかねないかも」
「でしょう?」
2人でそんな話をしながら黒猫を撫で続けていると、はっとしたように黒猫が突然遠ざかる。
かと思えば、土手の上に寝そべってこちらの様子を窺っているみたい。


