xxxFORTUNE




「えっ、ちょっ、きゃあっ!」

今度は、追いかけていたそれが突然止まるもんだから勢い余って転びそうになる始末。



「あ.危ないじゃない!」

思わず注意すると、黒猫は促すように一点を見つめる。


なに……?

そっちを見ろって、そう言ってるの?



首を傾げながら視線をずらすと、視界に入ったのは川を眺めるように座っている男の子。


あれって………

「恋千くん!?」


きっと、そう。

あの後ろ姿、間違いないわ。


名前を呼んだことに気づいてないのか、こっちを振り向く気配はない。

黒猫は、そんな恋千くんに向かって再び走り出す。



と同時に、あたしも駆け寄ると、ようやく彼は振り返ってくれた。



「は?え?すず、なんでっ!?」


状況が読み込めないらしい。

それもそうよ、二週間近く会ってなかったんだもん。

あたしだって、今すごくびっくりしてる。



「あ、えっと…久しぶりね」