洋館に帰ってからのことは、足が竦むくらい怖いけど仕方ない。
ちゃんと説明すれば、みんなだって怒らずに話を聞いてくれるわ。
ある程度まで走ってから、意識を集中させる。
どこ?
あなたは、どこにいるの?
しばらくすると、一定の場所から引っ張られるような感覚が。
魔力を見つけた証拠ね。
結ばれた糸を手繰り寄せるように、その方向へと歩を進めた。
あまり行ったことのない道。
住宅街から少し遠くに行ったところ。
並木道。
水の、流れる涼しげな音色。
風が教えてくれているみたいだった。
気づけば、あたしは川沿いに続く土手の上に立っていて。
耳を済ませば、リンリンと高めの音がする。
「───待って!」
目の前に現れた黒猫を、捕まえようと必死に駆け出した。
手を伸ばすのに届かなくて、魔法を使おうと杖を出現させることに決めた瞬間。


