首輪?
放し飼い?
「そっか、教えてくれてありがとう」
お礼を告げてから昇降口へ。
もしかして。
そんな予感が脳裏を過ぎる。
琴葉ちゃんの家は、確か洋館へ向かう途中の道を曲がるのよね。
前に一緒に帰った時、途中までは同じ道だったんだからきっとそうだわ。
もし琴葉ちゃんの言う猫が真っ黒で、首輪に鈴が付いているんだとしたら………
「愛琉さんっ、今日は先に帰ってて」
「は?待っててやったってのに何だよそれ」
「ごめんなさい!」
昇降口を出て数歩先、壁にもたれかかっている愛琉さん。
琴葉ちゃんと話してたあたしを、待っていてくれたみたい。
だけど、今日は一緒には帰れない。
「おまっ、どこ行くんだよ」
「黒猫探してくる」
止まることなく横切って、校内から足を踏み出した。
こんな勝手な行動したら、さすがに里音が怒るかな?
帰り、1人にならないように気を遣ってくれてるんだものね。
その気遣いに巻き込まれてる愛琉さんが怒るのは、もう確定事項で。


