その必死な姿に、アヴァルア校長先生は声を高らかにして笑う。
周りのみんなは、目が点。
「構わなくてよ。
あの黒猫、少し身勝手だけれど悪い者ではなさそうなの。
後から調べたところによれば、わたくしの知り合いの使い魔だったらしくて」
知り合いって……むしろ人間界に置いてちゃダメな気がする。
アヴァルア校長先生の知り合いと言うからには、エシャルで権力のある方じゃないかしら。
そんな方の使い魔を奪い取るような真似、とてもじゃないけどできないわ。
「ありがとうございます!」
エシャルでの地位なんて、佐久間さんには無関係だけれど。
「そういや、捕まえた黒猫ってどこにやったんだよ?」
眉間にシワを寄せて、あたしへ質問を飛ばす愛琉さん。
「確かに。
普通、引き取り手がこうして訪ねてきたなら渡すでしょう。
どこに隠しているんです?」
疑いの目で、誠が続けて。
なんだか、まずい雰囲気。
だからその、黒猫は今ここにはいなくて………


