楽しそうに笑いながら話すアヴァルア校長先生に、あたしは疑問しか浮かんでこない。


最初から、あたしが禁止事項を破ったことには気づいてた。

でも、何も処罰を与えなかった。


それって、特別注意するほど大きな問題じゃないってこと?



「エシャルのことを人間界で広めることは、あまり良くないわ。
けど、知られたからといって信じる人間なんているかしらね?
だから、禁止事項はあくまでも注意であって、破ってはいけないものではない」


……じゃあ、


「魔法も、決して使っていけないものではない。
人間界で魔法を悪用する者がいるから、禁止になっているだけのこと」


……あたし、


「今日は、そのことを伝えに来たのよ。
課題を続け、ちゃんと合格してもらうためにね」


良かった、まだ課題に合格するチャンスは残っているのね!



ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は隠れていた佐久間さんがアヴァルア校長先生にしがみつく。


「黒猫さん、ぼくが責任持って面倒みますから人間界で飼わせてください!
閉じ込めるなんて可哀想です」


ちょっ、佐久間さん、まるで母親に駄々をこねる子供だわ。