震えながらも庇ってくれる彼に、なんだか涙が零れそうです。

あの人間不信の佐久間さんが、抗議してくれてるんだもの。

感動で胸がいっぱいに………



「おかしいわねぇ。
なぜあなたが、すずは【お姫様】だと知っているのかしら?
それは同時に、すずが本来魔女であると知っているからではなくて?」


いいえ、感動に浸っている場合ではないみたい。


言葉を返せなくなった佐久間さんは、怯えてあたしの背後に回る。

「ごめんねぇぇぇぇっ、ぼくじゃまだヒメを守れないんだぁぁぁぁ」

背中にしがみついて、震えているらしい。



「あの、失礼ですが、あなたはすでに全てバレていることに以前から気づいていましたよね?」

次に口を開いたのは誠だ。


「黒猫の件で説明をする際彼女はもちろん、あなたも自国や魔法について語っていた。
それをなぜ、今さら問い詰めようと?」


あぁ、それもそうね。

黒猫が迷い込んだ時、アヴァルア校長先生は普通に魔法がどうとか説明していたわ。


すぐ近くに、誠と恋千くんがいたにも関わらず。



「確かに、すずがあなた方に正体を明かしてしまったことは知っているわよ?
それは、人間界へ送る時に予測できる範囲内ですもの」