「もう泣かないで。
黒猫なら、また捕まえれば大丈夫だから」
慰めるような口調で語りかけてみる。
あの籠、魔力が強かったものね。
黒猫が魔法で籠を通り抜けるのを防ぐためだったんだろうけど、ちょっと酷すぎたのかも。
「うわぁぁぁぁん、っヒメ、また黒猫閉じ込めちゃうの!?」
「えっ、…あのえっとそれはその」
瞳が……佐久間さんの瞳が訴えてる。
黒猫を閉じ込めるな、って。
どうしよう、黒猫をアヴァルア校長先生に引き渡すためには閉じ込めておくしか方法が………
「わ.わかったわ、アヴァルア校長先生に相談してみる!」
あの黒猫さん、人間界で飼えないかしら?
あたしの使い魔にできるのなら、ひょっとしたら閉じ込めておく必要がなくなるかもしれない。
「ホントっ?」
期待に満ち溢れたウルウルの瞳が、容赦なく胸に突き刺さる。
「えぇ、本当よ……?」
もし、どうしても閉じ込めなきゃいけなくなった時、佐久間さんに何て言おう。
「ヒメありがとう!
やっぱりヒメは人間と違って素敵な魔女っコだね!」
もう、後戻りはできなさそうね。


