毎度ながら、落ち着かせるように趣旨を尋ねる。
「ぼくは、ただっ、ぼぼぼぼぼぼ.ぼくは!」
「えぇ、ちゃんと聞くからまずは落ち着きましょう、ね?」
床に膝をつく佐久間さんの両肩を持って、続きを促す。
すごく混乱してるみたい。
大丈夫かしら…?
「あのねっ、ぼくは可哀想だと思って、出してあげようと思って、それで、出してあげたら窓を通り抜けちゃって、だから謝らなくちゃって思ったの!」
「え.えぇ………」
うーんと、何を可哀想だと思って、何が窓を通り抜けたの?
一生懸命伝えようとしてくれてるのは、すぐわかるんだけど内容が理解できないわ。
「ヒメ、ごめんなさい!」
えっと、だから何に対してのごめんなさいなのかわから───
「黒猫、すぐに捕まえてくるから!
お願いします許してください!」
床にぶつけそうな勢いで、何度も頭を下げている。
黒猫?
捕まえてくる?
「まさか……」
「うわぁぁあああん、ヒメごめんねぇぇぇぇごめんってぇぇぇぇ!」
どうやら、佐久間さんはアヴァルア校長先生に引き渡す予定だった迷い込んだ者──黒猫を逃がしてしまったようです。


