ありがとう里音。
みんな、何も知らなくてごめんね。
どうか、里音のご両親が天国で幸せでありますように。
目を閉じてお祈りして、そういえばと気づく。
「あの、……手」
まだ、繋いだままだった。
「あ、ごめん」
あたしの言葉で悟って、手を解放してくれる。
「てか、嫌だったら振り払って良かったのに」
それから、頭をぐしゃぐしゃに撫でると横を通り過ぎて。
はぁー‥、いろいろな情報がいっぺんに入ってきたから整理が追いつかない。
洋館に帰ってから、ちゃんとみんなとお話できるかしら。
「すず、どっか行きたいとこある?」
振り返って尋ねる里音に駆け寄って
「甘いものが食べたい!」
元気いっぱいに返答。
あれ………?
里音の隣に並んで歩き始めた時、変な感じ。
遠くから、誰かに見られているような。
「どうした?」
「……ううん、何でもない!」
気のせい、よね?
うん、気のせいよ。
わからない感覚を納得させて、あたしたちはお墓を後にした。


